大切な人とのお別れ(4)温度差。悔しい気持ち。そして誓い…
Fさんとのお別れに葬儀に来れなかった人のために、施設にお花をもらって帰る様に、ご家族が準備をしてくれました。
ただ一つ。葬儀屋さんにすごく不信感がわきました。
葬儀の担当者さんは、Fさんに声をかける事も、手を合わせる事も、お線香をあげる事も、お口を水でしめらせる事もなく、ご遺体のとなりで、淡々と葬儀の打ち合わせを始めました。
『これはオプションで、これもオプションで…これは〇〇円です!』とお金の話ばかり。
私たちが気になっていた、ラストメイクの話は一切なく、とても切ない気持ちになりました。
痩せ細っていたFさんの目をどうしても閉じてあげたくて、葬儀屋さんならどうにかしてくれると思っていたのに…
さらに…お花の件も残念でした。
告別式が終わり、同日に初七日法要が行われる準備の最中の事。
100鉢以上並んでいたお花は、何処か別の会場に運ばれて行きました。
担当者さんに、『ご家族の指示で施設にお持ち帰り頂くお花は状態の良いものばかりをご用意してあります。』と言われたので、Fさんの奥様と見に行くと…菊ばかりが乱雑に刺さった鉢が10鉢残されていました。
お花を取りに行ったスタッフと共に驚愕しました。
『え?こんな菊ばかりでしたか?』
と訪ねると、『二日間飾られていたので、悪くなり処分しました!』
喪主さんも知らないところで、処分など、あり得ない…
悲しみに暮れている隙に、お花を他の葬儀に使い回して、知らん顔なんて、許せない。
息子さんが、『処分したものも全部見せてください』と言うと、たくさんの蘭や、色とりどりのお花が、冷蔵庫から出てきました。
他の葬儀に使うために、高いお花を保管していたんですね…
また、他のスタッフからは、『Fさんのお花、たくさん軽トラに乗せられてどこか行きましたよ!しかも、まだ全て式が終わる前に。』と。
あまりに理不尽な事で、怒りが湧いてきました。
息子さんが、『社長出してください』と言うと、さらに冷蔵庫からお花が出てきました。
人生の最後にこんな事をされるなんて、私たちが、どれだけFさんを大切にしてきたのか…。
それをこのような形で悔しい思いをするとは思わなかったので、本当に残念です。
Fさんの息子さんから、『おとんの事を知らない、お金だけの人間に最期を送られるくらいなら、葬儀なんてしん方がましや、ケアリーさんで、最期お別れ会をしてくれたらそれで良いのに。』
その日の事は、また私たちの目標となり、志となりました。
おもいを繋いでくれる、葬儀、お別れ会をする。
そんな事を思った一日でした!
蘭とお花を一部ですが取り戻し、施設に持って帰り、各々お別れや、写真撮影もして、それぞれの形でFさんとさよならをしました!
Fさんの奥様は、『お父さんのお花』と毎日お世話をしてくれて、ドライフラワーは、リースにもなりました!
命は繋がっていくんですね!
死生観の変化
母の看取りを経て、私自身、そして最近の利用者さんのお看取り自体も変わって来た様に思います。
大切な人を失う事の恐怖や寂しさ、それはきっとこの先も変わらないでしょう。
でも、お看取りの場所が病院でなく、ケアリーでとなり、より身近になった為、最期の頑張りを一緒に過ごせる様になりました。
また、亡くなる前にやりたかった事をやったり、身辺の整理をしたり、会いたかった友人、親戚、家族に会ったりと、病院ではなかなか叶えられない事が出来ます。
もっとこうすれば良かったと言う後悔より、やりたい事が出来た!
人生を全う出来た。と言う満足感に変わるようになりました。
最近では、お看取りを終えたご家族より、御祝と書かれた箱を頂いたり、『命を全うした御祝だから』とスタッフ皆にお赤飯を振る舞って頂いたりする様になりました!
ご家族から、
『最期、家族で過ごせて、いろんな人と再会できて、苦痛もなく、人生を謳歌した。』
『こんなめでたいことはない!』
と言って頂き、私たちのしている事は間違ってない。と言われている様で、本当に嬉しかったです。
そんな体験がたくさん増えて、私たち自身も、死は暗く悲しいものと言う概念から、天国へ召された、生を全うした日 と言う様に死生観が変わってきました。
湯灌についても、ご家族にも同席してもらい、一緒に洗って綺麗にして、綺麗だね!と言って最期のお支度を整えます。
生前大好きだったお洋服にお着替えし、『頑張ったね!お疲れ様。』と声をかけます。
それは、見送る側にとっても、天に召される方にとっても、とっても幸せな事だと思います。
これは、私が母にやってあげたかった事でもあります。
この先もこの気持ちを忘れずに、ハッピーなお看取りを実現して行こうと思います。
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