大切な人とのお別れ(1)
いつもケアリー通信をご覧頂き、ありがとうございます。
今回はとても寂しいお知らせをさせていただかなくてはなりません。ここからのお話しは、不快に思う方もいらっしゃるかもしれませんので、読み進めるかどうかはご判断ください。
お空へ旅立たれたFさんへ、『よく頑張ったね』と笑顔で送り出してあげたいので、ご家族様の意思も頂き、お話しさせていただきます。
Fさんとの思い出はたくさんたくさんありすぎて、何から伝えたら良いのかわかりません。
Fさんは、ケアリー岐阜下佐波1号館のオープンの日に、奥様とご夫婦部屋に入居されました。
ご子息や、前に入られていた施設からとても気難しい方と聞いていて、入居してきた頃から、口癖は『あほーっっ!!』
『あほーっっ!!』と怒鳴られなかったスタッフはいないほどです。
Fさんはとてもこだわりが強く、食べる事が大好きでした!
いつも、とくし丸がくるのをとても楽しみにしていて、海苔巻きや、納豆、梅干し、じゃこ、アイス、パンなどを購入しては、美味しそうに食べてました。
中でも、納豆とランチパックが大好きで、納豆は毎食、ランチパックはおやつに毎日食べてました!
Fさんや、Fさんのご家族からは、「延命はしないでほしい。」と、言われていました。
この病気(ALS)はいつ呼吸に来るかわからない。
呼吸ができなくなる事は、溺れている苦しみだそうです。
もし、そうなったら、私たちに何ができるのか、スタッフや、ご家族ともよくお話ししました。
ご家族の望みは、『苦しくないように。』
それは、私たちにとっても同じです。先生にお願いし、酸素、N P P V、麻薬などの準備、打合せをしました。
一年半前の夏に、先生からとても残酷なお話しがご家族さんを含めてありました。
「嚥下が著しくできなくなくなってきています。舌はもうほとんど動いていないため、いつ誤嚥性肺炎を引き起こすかわからないです。
喉に詰まらせて窒息死の可能性も高いので、もう食べる事はできません。」
Fさんにとって、食べることが唯一の生きがいだったのに…
Fさんがショックを受けているお顔は今でも鮮明に残っています。
ご家族からは、『とーちゃんが食べたいなら、それで死んでも悔いはないやろ』とお話しされ、ご本人に確認すると、『いきなり食べれないと言われても、そんな事はない。食べれないなら、生きてる意味がない』と。
ご家族、ご本人とも話し合い、歯科医師、看護師とも相談した結果、食べ続ける選択をしました。
ところが、『もう、食べれない』と宣告されたショックから、食べる事に自信がなくなり、食事量や食べる意欲がめっきり落ちてしまいました。
お散歩に誘っても外に出る事もしなくなりました。
そんな時、Fさんのお姉さんの訃報がはいり、ご葬儀に参列する事になりました。(その時のブログはこちらです)
念願の故郷への外出ですが、食事量などが減り体力も落ちていたので、長時間の移動にも不安がありました。(片道2時間近くかかります)
葬儀で久しぶりにたくさんの親戚に涙の再会!たくさんの親戚に会う事ができ、身体の痛みや苦痛もしばらく忘れる事ができました!
お蕎麦が大好きだったので、近くのお蕎麦屋さんをいろいろ探してみたのですが、Fさんが乗っているリクライニングの車椅子で入れる様な建物がなく、うどん屋さんに寄ってご飯を食べました。
ここのところ、食べれない日々が続いたのですが、なんと完食!
『完食できたね!』と抱き合って喜びました!
その、成功体験から自信を取り戻したFさんは、施設に戻ってから、以前のように、ランチパックを食べ、ご飯をおかわりするまでになりました。
故郷へ帰りたいと言う思いを叶え、大好きだった麺を外で食べた事で、Fさんは生きる力を取り戻しました。
私達も久しぶりにFさんの生き生きとした姿を見ることができて、嬉しい気持ちと、こんな体験をもっとみんなにしてあげたい、他のスタッフにも共有したいと思いました!
9月にはFさんの故郷の滋賀県に施設ができます!
その日まで、頑張って、また滋賀県に行こうね!と約束しました。
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